中村歯科医院 健康の入り口

大人の虫歯ケア

NHK Eテレの健康情報番組 「チョイス@病気になったとき」 が2014年6月から8月の放送内容に、あらたな情報を加えて1冊の雑誌になっています。その中で、“大人の虫歯ケア” が取り上げられていました。「歯を失う原因」 として最も多い歯周病が、いま注目されていますが、二番目に多い虫歯も成人では8割の人にあり、とくに45歳以上では過去の調査に比べて、増加していると書かれていました。また歯周病、知覚過敏、虫歯の問題は、原因や対処法は異なるものの相互に関連しあい、同時に起こる場合も多いため、総合的な口腔ケアが重要ですとも書かれていました。きちんとケアをして、危険な 「酸蝕歯」 を遠ざけて起こさないようにするということです。酸蝕歯とは、歯に残った歯垢(プラーク)の中で、虫歯菌が糖を栄養にして酸をつくりだし、歯のエナメルを溶かしていくことです。糖と酢(酸)がいっしょになった寿司は酸蝕歯を招く “危険な” 食べ物ということになります。炭酸飲料や柑橘系のジュース、スポーツドリンク、アルコールなども口の中を 「酸性」 にします。虫歯ができにくい状態を保つために、だらだら飲み続けない。飲んだ後は、口をすすぐか、水や緑茶を飲む。そして、ガムを噛むことを記事の中では、すすめていました。ガムを噛むことをすすめるのは、唾液は口の中で酸を中和し、唾液に含まれるミネラルが歯の石灰化にも役立つからです。

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認知症を噛む力で治す

厚生労働省は2012年に 「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者数について」 という報告書を発表しています。それによると、2025年時点の認知症高齢者数は470万人(65歳以上の12.8%)と推計されています。脳機能の老化と関係が深い認知症を防ぐために、ガムを噛むことが提唱されていますが、それを解説した本が2014年9月19日に出版されました。“認知症を噛む力で治す” という本で、著者は岐阜大学医学部助教授や神奈川歯科大学教授を務めながら、咀嚼と脳の関係を研究してきた小野塚 實さんです。小野塚先生は、食生活の大きな変化によって、昔と比べて日本人は、噛まなくなったが、1日2~3枚のガムを噛むだけで、咀嚼の回数の少なさをかなりカバーできると書いています。日本チューイングガム協会の調べによれば、一般的に1枚(1粒)のガムを味がなくなり捨てるまで、およそ10分程度噛んだ場合、550回も噛んでいるそうです。ゆっくり、しっかり、意識して噛むことで、前頭連合野や海馬といった脳の広い領域が活性化することが研究でわかっています。トクホに指定されたガムのパッケージには食べ方が表示されていますので、それを参考に、「ガム噛み」 習慣を生活の中に採り入れてみてはいかがですか?

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食といのち

2014年9月10日に 「食といのち」 という文春文庫が出版されました。いのちを支えるスープで有名な料理研究家の辰巳芳子さんの対談本です。本の中には、看護師の川嶋みどりさんとの対談 「口から食べることの大切さ」 が含まれています。川嶋さんは対談の中で 「医学的には、どちらかといえば栄養素やカロリーを問題とします。ところが、私たちが長いこと看護師として経験しているなかでは、たとえ栄養学的に全然価値がない食事でも、口から入ることに、すごく大きな意味があるんです。しかもその食物はその人の生きてきた歴史にとって意味のあるものなんです」 と語っていました。末期の患者さんには、たとえスープ一口でも、明日の命につながる。医学的にはたったスープ一杯飲んだとしても、癌が治るわけではないけれど、患者さんは意欲が出てくる。歩んできた歴史とか懐かしい思い出を刺戟すると、症状が軽くなったりすることもあるそうです。認知症の患者さんには、その懐かしい思い出の中で、食べものは大きなウエイトを占めている、そんなふうに語る川嶋さんにとっての看護の基本とは、「食欲のない方にどうしたら食べていただけるかな」 と一生懸命その方の身になって考えることだそうです。“口から食べる” ことを大切にする点では、看護師も歯科衛生士も同じだということを認識させてくれる本でした。

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