中村歯科医院 健康の入り口

噛むことで動きだす、消化・吸収のシステム

2012年8月にPHPサイエンス・ワールド新書として出版された「からだに、ありがとう1億人のための健康学講座」という本があります。その本の中で、慶応義塾大学医学部教授の伊藤裕さんが、噛むことで「体に食べ物が入っていくよ」というシグナルが脳に届けられ、その脳からの指令で、インスリンの分泌を含めた消化・吸収のための準備を体にさせると述べています。

そして、噛めなくなると、体が必要とするエネルギーや栄養が十分にとれなくなるだけでなく、噛むことによるシグナルが届かなくなることで、胃腸系の働きが衰えてくるので、噛めなくなるということは、寿命にも関係してくるのだそうです。

また脳を刺激して、胃腸系に準備をさせるのに“空腹” はとても大事なことだとも述べています。

家族と語る「口から食べられなくなったらどうしますか?」

「平穏死」という選択という本が、2012年9月に幻冬舎ルネッサンス新書として出版されました。著者は、東京都済生会中央病院副院長を経て、現在、特別養護老人ホーム・芦花ホームの常勤医である石飛幸三さんです。「看取り」の医師によって自然な最期の迎え方が提唱されています。

また、聖路加国際病院の日野原重明先生と日本赤十字看護大学名誉教授の川島みどり先生と著者が行った対談の中での看護の専門家である川島先生の次のような発言も紹介されていました。

「どんなに少量で、摂取できるカロリーが少なくても、口から食べることの価値がいかに大きいかを、それこそ数十年も私は言い続けてきました。

その経験も積み重ねてきました。口から食べることの意義は何かといえば、まず唾液が分泌されて、口腔内はそれだけで免疫系のバリア機能が働きますね。そうして、食べものがのどを通ることで、内臓が働き始めます。

腸も動いて、排便も促されます。自律神経の副交感神経が優位になって、ナチュラルキラー細胞が活性化して免疫力も向上し、いわゆる自然治癒力も高まります。食べられない人が、口からわずかひと口でも、ひとかけらでも食べられただけで、そこから食欲が出てくることもあります。当然、意識もしっかりしてきます。生きる意欲だって生まれます。」

しっかりよく噛んで、快適な生活を送りませんか?

ビッグコミックオリジナル2012年10月5日号に歯周病と糖尿病との関係をテーマにしたコミックが載りました。

コミック名は「ひよっこ料理人」です。

子ども料理教室を舞台に作り手の視点から食を捉えた新感覚料理コミックなのですが、メタボとお口のことが実にわかりやすく描かれていました。

「現代は、口に入る前の栄養学が主流だが、口に入った後の栄養学という発想が抜けているんだ」というセリフが、コミックの中にありますが、中途半端な専門書より、ずっと核心をついた名セリフです。

一読に値します。

ドライマウスと女性ホルモン

2012年10月発行のクロワッサン特別編集号のテーマは、「40歳から意識したい、女性ホルモンの力」でした。ドライマウスには、様々な原因があるが、女性が病気でない場合、40歳から始まる女性の体の変化がドライマウスの大きな原因になっていると専門医が語っています。

唾液の分泌は自律神経がコントロールしていて、女性ホルモンが低下すると、その自律神経が乱れて、口の中の乾燥も進むんだそうです。

「唾液には口の中をクリーニングする作用や歯を修復する作用があるので、ドライマウスで唾液量が少なくなると、口臭が出やすくなったり、虫歯になりやすい状態になったりする」と書かれていました。

よく噛んで食べる、ノンシュガーのガムを噛む、口唇ストレッチや舌のストレッチで唾液腺を鍛えるなどの習慣と歯科医院での3ケ月に一度の口腔ケアの習慣をすすめています。

「噛む」のダイエット効果

季刊誌「NHKためしてガッテン」の2012年秋号で秋のダイエット特集として“ヤセ体質に変わる秘策” が紹介されていました。私たちの体内には、体を動かしていなくても、脂肪を燃やしてくれる「褐色脂肪細胞」というのがあって、この細胞の量や活性度、加齢による働きの低下が、「中年太り」になりやすい原因になっていると考えられているそうです。

よく噛んで食べるとその刺激で交感神経の働きが高まり、褐色脂肪細胞が活性化して、肥満を防ぐことができると書かれていました。「噛むこと」は、これからダイエットをはじめようという人にも、ダイエットに行き詰まっている人にも、とても効果的で、実際、ある会社で「よく噛む」効用を活用したダイエット法を推奨したところ、成功率が驚きの96%! しかも、血圧や中性脂肪、肝機能などの数値も軒並み改善されたそうです。