中村歯科医院 健康の入り口

歯の接触グセ

口を大きく開けられない、あごのまわりが痛い、口を開けるとあごが鳴る。こんな症状に悩まされるようになったら、顎関節症が疑われます。東京医科歯科大学の木野孔司准教授らが顎関節症の患者さん約500人を調べてみると、共通のクセが見つかったということを、2014年10月25日の朝日新聞が伝えていました。TCH(Tooth Contacting Habit)と名づけられた、その歯の接触グセは、顎関節症を引き起こす最大の原因になることがわかってきたそうです。自分の歯を最後まで残そうと思ったら、ていねいなブラッシングと定期的な口腔ケアにプラスして、無意識のうちに上下の歯をつける上下歯列接触癖を是正することを記事では、すすめていました。ぐっと歯を食いしばっても、あごなどに負担がかかるが、長くは続かない。一方、軽い歯の接触は長時間化しやすく、問題はより深刻化しやすいのです。TCHがあると、口の周囲の筋肉が緊張を続け、関節に力が加わり続けます。また歯や歯周組織にも影響が出てきます。通常は、疲れを感じた脳が 「歯を離せ」 と命令を出すのですが、TCHの人はこの命令を抑えこんでしまい、脳が命令を出さなくなってしまうのだそうです。パソコン作業や細かな数字を扱う作業、車の運転や毎日の家事などで一生懸命なときほどTCHは起きやすいのですが、歯をかみしめることは誰にでもあることです。大切なのは、クセにしないこと。集中して取り組んでいる時こそ、口の脱力を心がけて下さい。

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かむかむウォーキング

噛むことを意識した、ユニークな健康イベントに 「アクティブかむかむウォーキング」 というのがあります。NHKエデュケーショナルが主催したこのイベントのねらいは、日常生活で運動習慣にしたい速歩(=アクティブウォーキング)にガム咀嚼をプラスして、からだの筋肉に刺激を与え、速歩の効果をもっと高めようというものです。いま世界中の研究者が、中高年の健康対策として、注目しているのが、この 「速歩=アクティブウォーキング」 なのだそうです。日常生活の中に、1日に合わせて15~20分程度のアクティブウォーキングを取り入れると生活習慣病の予防効果とともに、全身の筋肉の強化が図れることで体力の向上も期待できます。また、健康だけでなく筋肉が引き締まり、若々しいからだとプロポーションを維持するのにも役立ちます。ガムをかみながらのアクティブウォーキングについて書かれた本が、2014年10月10日に出版されました。その「かむかむウォーキング」の著者は、東京歯科大学の石上惠一教授です。石上さんは千葉県立幕張海浜公園で2013年11月に開催されたアクティブかむかむウォーキング第1回大会の企画の段階からスポーツ歯科の立場で参画しています。石上さんは 「ガムなどによる咀嚼は、一定時間続くと大脳皮質の咀嚼運動領を興奮させ、それが隣接する運動領へじわじわと広がり、結果として、全身の骨格筋がアイドリング状態のように活性化された状態となる」 と述べています。散歩や家事に、特保のガムをかむかむすることを取り入れてみてはいかがですか?

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大人の虫歯ケア

NHK Eテレの健康情報番組 「チョイス@病気になったとき」 が2014年6月から8月の放送内容に、あらたな情報を加えて1冊の雑誌になっています。その中で、“大人の虫歯ケア” が取り上げられていました。「歯を失う原因」 として最も多い歯周病が、いま注目されていますが、二番目に多い虫歯も成人では8割の人にあり、とくに45歳以上では過去の調査に比べて、増加していると書かれていました。また歯周病、知覚過敏、虫歯の問題は、原因や対処法は異なるものの相互に関連しあい、同時に起こる場合も多いため、総合的な口腔ケアが重要ですとも書かれていました。きちんとケアをして、危険な 「酸蝕歯」 を遠ざけて起こさないようにするということです。酸蝕歯とは、歯に残った歯垢(プラーク)の中で、虫歯菌が糖を栄養にして酸をつくりだし、歯のエナメルを溶かしていくことです。糖と酢(酸)がいっしょになった寿司は酸蝕歯を招く “危険な” 食べ物ということになります。炭酸飲料や柑橘系のジュース、スポーツドリンク、アルコールなども口の中を 「酸性」 にします。虫歯ができにくい状態を保つために、だらだら飲み続けない。飲んだ後は、口をすすぐか、水や緑茶を飲む。そして、ガムを噛むことを記事の中では、すすめていました。ガムを噛むことをすすめるのは、唾液は口の中で酸を中和し、唾液に含まれるミネラルが歯の石灰化にも役立つからです。

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認知症を噛む力で治す

厚生労働省は2012年に 「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の高齢者数について」 という報告書を発表しています。それによると、2025年時点の認知症高齢者数は470万人(65歳以上の12.8%)と推計されています。脳機能の老化と関係が深い認知症を防ぐために、ガムを噛むことが提唱されていますが、それを解説した本が2014年9月19日に出版されました。“認知症を噛む力で治す” という本で、著者は岐阜大学医学部助教授や神奈川歯科大学教授を務めながら、咀嚼と脳の関係を研究してきた小野塚 實さんです。小野塚先生は、食生活の大きな変化によって、昔と比べて日本人は、噛まなくなったが、1日2~3枚のガムを噛むだけで、咀嚼の回数の少なさをかなりカバーできると書いています。日本チューイングガム協会の調べによれば、一般的に1枚(1粒)のガムを味がなくなり捨てるまで、およそ10分程度噛んだ場合、550回も噛んでいるそうです。ゆっくり、しっかり、意識して噛むことで、前頭連合野や海馬といった脳の広い領域が活性化することが研究でわかっています。トクホに指定されたガムのパッケージには食べ方が表示されていますので、それを参考に、「ガム噛み」 習慣を生活の中に採り入れてみてはいかがですか?

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食といのち

2014年9月10日に 「食といのち」 という文春文庫が出版されました。いのちを支えるスープで有名な料理研究家の辰巳芳子さんの対談本です。本の中には、看護師の川嶋みどりさんとの対談 「口から食べることの大切さ」 が含まれています。川嶋さんは対談の中で 「医学的には、どちらかといえば栄養素やカロリーを問題とします。ところが、私たちが長いこと看護師として経験しているなかでは、たとえ栄養学的に全然価値がない食事でも、口から入ることに、すごく大きな意味があるんです。しかもその食物はその人の生きてきた歴史にとって意味のあるものなんです」 と語っていました。末期の患者さんには、たとえスープ一口でも、明日の命につながる。医学的にはたったスープ一杯飲んだとしても、癌が治るわけではないけれど、患者さんは意欲が出てくる。歩んできた歴史とか懐かしい思い出を刺戟すると、症状が軽くなったりすることもあるそうです。認知症の患者さんには、その懐かしい思い出の中で、食べものは大きなウエイトを占めている、そんなふうに語る川嶋さんにとっての看護の基本とは、「食欲のない方にどうしたら食べていただけるかな」 と一生懸命その方の身になって考えることだそうです。“口から食べる” ことを大切にする点では、看護師も歯科衛生士も同じだということを認識させてくれる本でした。

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時間栄養学

8月31日は、全国青果物商業協同組合連合会などの9団体が1983年に制定した “野菜の日” です。「野菜の日」 をきっかけに、野菜から食べる習慣を始めてみませんかという全面広告をキューピーが朝日新聞に載せていました。キューピーの2014年8月31日の広告記事には、時間栄養学という言葉が使われています。女子栄養大学の香川靖雄副学長が監修しているキューピーのホームページには、時間栄養学について、こう書かれています。 「時間栄養学の進歩で、食べる時間はもちろんのこと、食べる順序や速度が健康に大きな影響を持つことがわかってきました。血糖値が急に増えると、すぐにインスリンが分泌され、血糖を脂肪に変えてしまいます。またインスリンが急激に上がると、しだいに膵臓の機能を弱めて、長い間に糖尿病の原因ともなります。これを防ぐために大変有効な方法が、野菜などをご飯よりも先に食べることです。ちなみに食事の際、一口30回かむなどゆっくり食べることは、インスリンの分泌を抑える上でも有効です」。 また、朝食から夕食までが12時間で収まっていれば、体は持って生まれたリズムで動いていると考えられるので、生体リズムが乱れて代謝がスムーズでない人の場合、12時間以内を意識して実践するだけで減量につながることもあるそうです。夕食がどうしても21時以降になってしまうというような場合には、17~18時ごろに軽い食事を取ることで、昼からの長い血糖低下を防ぐとともに、夜食を多く摂取してしまうことによる肥満も予防できるとキューピーのホームページには紹介されていました。

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ピンピンコロリの法則

私たちの周りには健康に関する情報があふれています。テレビでは毎日のように、健康をテーマにしたバラエティー番組が放送され、毎月何冊もの健康雑誌が出版されています。そうした状況に惑わされず、自分なりの 「健康」 を守り、楽しく暮らしていくために参考になる本が2014年8月25日にワニブックス社から出版されました。著者は、公衆衛生のエキスパートとして、多摩市などの地方自治体と協力しながら「健康寿命」の研究を続けている星旦二さん(首都大学東京・大学院教授)です。星教授たちが実施した全国16市町村2.2万人の追跡調査などによれば、健康寿命と関連する要因は、趣味があり、外出頻度が高く、主観的健康感が高いことだそうです。「人の中に出ていくことで、背筋を伸ばし、身だしなみを整える。そのことがまた、健康長寿に大きく寄与する。まさに口紅、化粧、身だしなみです。それ以外で健康長寿と関連する要因は、肝臓病がないことと、かかりつけの歯科医を持っていることだ」 と書かれていました。「口紅、化粧、身だしなみ」 という言葉は、1998年にスウェーデンを訪問し、健康長寿の今後の方向性と展望について質問したとき、スウェーデンの医系技官の返答として出てきた言葉だそうです。それからは、星教授の研究チームの中では 「病院より美容室に行こう」 がキャッチコピーになっています。ネンネンコロリ(NNK)よりピンピンコロリ(PPK)を望む人の基本的なケアは、相手に失礼にならないような身だしなみ、自分は 「きれい」 という自負、歯を大切にして笑顔をさわやかにすることかもしれないと、星教授は言っていました。

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口から食べられない生活を想像できますか?

2014年7月22日に出版された、長生きは「唾液」で決まる!という本には「口や咽の麻痺のため、自力で食べることができない(摂食機能障害と呼ばれます)ならば、点滴や経鼻経管栄養で生き永らえればよい、という時代がかつてありました。しかし、今はもはや、そういう時代ではありません。現代は、いかに生きるかが重要な時代です」と書かれています。手足のリハビリをするように、口や咽もリハビリをして、もう一回口から食べられるようになってもらうお手伝いをしたい。そういう願いを胸に、摂食嚥下リハビリテーションに取組んでいる著者は、日本大学歯学部摂食機能療法学講座教授の植田耕一郎さんです。口や咽がまひしたら、仮に歯が28本きれいに残っていたとしても、食べ物を噛むことは難しくなり、飲み込んだものは誤って気管に入ってしまう。これは、著者が1990年5月に墨田区にある都心型リハビリテーション専門病院に勤務し始めた頃の歯科界の常識を覆すような、想定外の現実だったそうです。そこで、リハビリテーション科の医師、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、看護師、薬剤師、管理栄養士さん達と協力しながら、こうした歯科の現状を変えようと取組んでいった中で、「口」ストレッチが生まれました。本書で紹介されている「口」ストレッチは、脳卒中の患者さんを対象に、口や咽の機能を回復するリハビリテーションを行う際のトレーニングとして、25年前から実施し、リハビリ関連の専門書で発表されてきたものです。ところが最近は、アンチエイジングという観点から「表情筋トレーニング」「美顔の作り方」「老化予防運動」といった扱いもされているとのことです。口や咽の機能回復と全身の健康状態は密接に関係していますので、今回、一般向けの書籍としては始めて、公開された「口」ストレッチを参考にしてみて下さい。

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粗食に注意

「主食」 「主菜」 「副菜」 「牛乳・乳製品」 「果物」 をバランスよく食べている高齢者はわずか13%という実態が、65~84歳の908人を対象に行った全国農業協同組合中央会(JA全中)の 「高齢者の食事」 調査で浮き彫りになったのは、2011年4月でした。食べる量が減って、必要な栄養が足りない状態の 「低栄養」 をテーマにした記事が新聞に2つ載りました。一つは、「粗食に注意 しっかり食べて」 と題した2014年7月1日の朝日新聞の記事です。東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二・研究部長らの調査では、低栄養になっていると、男女とも死亡リスクが、低栄養ではない人と比べて最大1.6倍程度上がったそうです。その理由を新開さんは 「血管の壁がもろくなるタイプの脳梗塞や心筋梗塞が増える。筋肉が減って転びやすくなり、認知機能も下がる」 と説明しています。また名古屋大学の葛谷雅文教授(老年科学)は低栄養がもたらす影響について 「免疫機能が低下し感染症になりやすく、傷はなおりにくくなる。呼吸機能が下がり、疲れやすくなる」 と語っています。葛谷さんによれば、低栄養になる原因には薬の副作用による食欲低下、かむ力やのみ込む力の衰えなどのほかに、太っていないのに 「自分は太っている」 という間違った思い込みがあるそうです。そこで、もう一つの2014年7月18日の毎日新聞の記事で、高齢者の単身世帯や老夫婦の食卓は炭水化物中心に偏りがちになるので、管理栄養士で医学博士の本多京子さんが、魚の缶詰を上手に利用する方法を提案していました。サバ、サンマ、サケの缶詰は、料理へのアレンジがしやすく、抗酸化作用や脳の働きを活発にするEPAやDHAがたっぷり含まれているので、常備しておくと便利だと語っていました。

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噛み合わせ

TBS系のテレビ局で、毎週日曜の朝7時から 「健康カプセル ゲンキの時間」 が放送されています。2014年6月29日の番組テーマは 「噛む」 でした。番組紹介には 「先日の放送で、噛むと脳が活性化し認知症予防になると紹介しましたが、他にも噛むことで多くの健康効果が得られます。そんな噛む力を維持するためにカギとなるのが、噛み合わせです。噛み合わせが悪いと良い効果が得られないばかりか、逆に病気を引き起こす可能性もあります。噛み合わせを正すことで全身がパワーアップし、日々の暮らしにも様々な効果をもたらしてくれるのです。」 と書いてあります。番組は、噛み合わせと健康について次のような視点で作られていました。「噛み合わせが悪いと、姿勢のバランスをとるとき頭の位置がズレてしまい、それがカラダ全体のバランスの崩壊につながります。そして肩こりや腰痛など多くの弊害を引き起こすと言われています。噛み合わせを正すと、歯の神経から大脳へ送られる情報量がアップし、脳がより活性化します。そして脳から筋肉へより強く動かす指令が出て、筋力のパワーアップにつながり、さらにボディバランスが変化して安定するようになってきます。」番組で行った実験でも、噛み合わせを正すとバランス力が抜群によくなったり、ゴルフのドライバーの飛距離がアップしたりと目に見えて、その効果が実感されました。噛み合わせと健康長寿とは密接に関係しています。日常の生活の中でも噛み合わせの重要性を認識して、いきいきライフを送りましょう。

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